北杜夫「少年と狼」
森と山の麓の草原のあたりに、デヒタというへんちくりんな少年がすんでいました。いつも仲間はずれにされていたデヒタは、よし、山へ行ってみよう!と思いました。大変むつかしいことでしたが、デヒタはがんばりました。たどりついたちいさな沼で、デヒタは竜をみたのでした。そして竜のそばには黄金があったのでした。ところが家にかえってからデヒタがいったことを、父と母はまったく信じてくれませんでした。
- 作者: 北杜夫
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
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ここでの少年は決して嘘をついているわけではありません。ただそれが(大人にとっては)突拍子もないことなので、誰にも信じてもらえないだけなのです。そして話は狼と遭遇する、あの結末に向かいます。まるでそれは避けられない運命であるかのように・・・ただ、どういう方向に落ちるかは、読んでのお楽しみ。ラストのある一文に感じ入る部分がありました。