2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

北条民雄「いのちの初夜」

不治の病を宣告されて以来、尾田は日夜死を考えていたが、考えるほどに死にきれなくなって行く自分を発見するばかりだった。いったい俺は死にたいのだろうか、生きたいのだろうか・・・。しかし、佐柄木という患者は違った。尾田よりも重い症状なのだが、明…

大江健三郎「万延元年のフットボール」

僕の生活は下降の限りをしつくして、穴ぼこの中にすでに出口はない。あるのは「恥」の感覚ばかり。弟の鷹四はそんな最低の僕と妻とを、故郷四国にいざなうが・・・待っていたのは、暴力に憧れを抱く青年たち。彼らを煽動する弟と、見る影もない自分。そして…