中上健次「重力の都」

 女郎にもこんなに好きなのはめったにいないと声を掛けると女は笑いながらその事が好きでしょうがないと言い、それから思いついたように死んだ御人はひどいことをすると言い、何度も何度もして欲しいと言った――。「死んだ御人」の影響下で行われる男女の語らい。

重力の都 (新潮文庫)

重力の都 (新潮文庫)

 特異な文体が貫かれた、同名の連作短編集「重力の都」の中の1編。荒っぽくて土着性にあふれる男性優位な世界観ですが、女の精神の在りどころにより、その中に不思議と神話のような雰囲気が生まれています。

 空から飛来した神を見たと言う女の言葉が本当の事だったと思った。