獅子文六「てんやわんや」
私は犬丸順吉、29歳。謙遜ではなく、平凡な人間であり、そして全てによく服従する。それが私の性格であり処世の術である――。影で愚痴っても面と向かっては何も言えない、サラリーマン的悲哀を見せる主人公が、敗戦直後の1年間をいかに過ごしたかを生真面目(本人はそう思っている)に語る長篇。
- 作者: 獅子文六
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/08
- メディア: 文庫
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それはページを繰るごとに大きくなります。この違和感は初めは笑えるポイントとして存在しますが、次第に主人公に対して異なる感情を持つようになりました。これは間違いなく作者の狙いであり、書かれているものをそのまま読むだけでは、決して気づかない部分であるように思います。
また、田舎と都会、それぞれに住む人の人情や風習、さらに景色の描写も本書の魅力です。