山本周五郎

山本周五郎「よじょう」

「斬られて死んで、おやじは本当に、これで満足だっていったのかい。相手が宮本武蔵だかなんだか知らねえが・・・」。そのうち橋のそばに新しく小屋が出来、ここに勘当された岩太が住み始めた。世間から見捨てられた不良の行着いた先である。ところが監視の役…

山本周五郎「こんち牛の日」

祝言の三日後、おすぎは金目のものをすべて持ち出して出奔した。心当たりがないでもない。塚次は、一人でもよく働いた。懸命に働きつづけた。それにしても、おすぎが帰ってきたら、おれはどうするだろう。きっと何も言えやしないさ。塚次はぼんやりと溜息を…