2005-01-11から1日間の記事一覧

深沢七郎「おくま嘘歌」

おくまは数えどしなら64で、「ワシなんか、厄介者でごいすよ」とよその人には言うのだったが、腹のなかでは(まだまだ、そんねに)と思っているのだった。おくまは葱も茄子もダイコンもトマトもジャガ芋もいんげん豆も作っているうえに、鶏を30羽も飼って…

山本周五郎「よじょう」

「斬られて死んで、おやじは本当に、これで満足だっていったのかい。相手が宮本武蔵だかなんだか知らねえが・・・」。そのうち橋のそばに新しく小屋が出来、ここに勘当された岩太が住み始めた。世間から見捨てられた不良の行着いた先である。ところが監視の役…