武田麟太郎

武田麟太郎「日本三文オペラ」

このアバートは隣室の声が響き、お互いの生活は半ば丸出し、床や壁には人間の色んな液汁が染みこんで汚く悪臭を発散しており、狭くて汚い部屋ばかりである。それでも家賃の安さからたいていの部屋が塞がっていた。最低レベルのアパートの住人たちによる、三…

武田麟太郎「銀座八丁」

勤め先のマダム・あき子は昨夜泥酔のあげくに発病したらしく、すっかり元気をなくした様子。店の内情を知るバーテン藤山は、表立ってはマダムに媚びながら、いつも身の振り方を考えていた。その場合、彼女及び店の資金源である内田、このお人よしを利用しな…