武田麟太郎「銀座八丁」
勤め先のマダム・あき子は昨夜泥酔のあげくに発病したらしく、すっかり元気をなくした様子。店の内情を知るバーテン藤山は、表立ってはマダムに媚びながら、いつも身の振り方を考えていた。その場合、彼女及び店の資金源である内田、このお人よしを利用しない手はない・・・。銀座5丁目にあるバー「ロオトンヌ」。繰り広げられるのは、金と欲にまつわる話。
- 作者: 武田麟太郎
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1983/01
- メディア: 単行本
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はじめ、バーテンの藤山は利用される側、マダムのあき子は利用する側でしたが、この街において上下関係を決定するのは金でしかなく、チャンスを掴むことが出来るかどうかにより、立場も変化していくのでした。その中で登場する「アイツ」という人物だけは、悠々と銀座の海を泳ぎ続けます。それはいかにも憎たらしいものですが、ここまで貫かれると何となく痛快です。バッドボーイ、極まれり。