中島敦「李陵」
騎都尉・李陵は僅かの兵を率いて出撃、優れた戦術と力量を持って強敵・匈奴を大混乱に陥れるが、内通に遭い敗北、囚われの身となる。それを聞いた祖国・漢では、皇帝・武帝を前に、諸侯が生き永らえた李陵を売国奴と罵っていた。黙して語らぬ者もいたが、それも数えるほどしかいない。だが、ただ一人だけ、李陵を賞賛した男がいる。武帝を前に向う見ずな男、その名は司馬遷。
- 作者: 中島敦
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李陵を助けた罪で恐ろしい刑に処されることが決まったとき、司馬遷は考えます。自分の何が悪かったのか?正義を行ったはずなのに、どうしてこんな目にあわなければならないのか?少なくとも、武帝に取り入りたいだけのために、自分を裏切って李陵をののしる奴らの真似は出来ない。何も口出しせずに、知らん振りしていればよかったのか?でも、それは自分の性格からして不可能だ。ならば・・・という論理の果てに行き着いた結論は、自らの信念にプライドを持つ人間が、必ず到着する場所。
- 作者: 中島敦
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