矢田津世子「神楽坂」
爺さんが妾宅で待っていると、お初が帰ってきた。お初は爺さんに金目のある物を遠慮なくせびる。爺さんの方でも、つい負けてしまう具合である。いっぽう、内儀さんは女中の種が気に入っている。「ああ、わたしにもこんな女の子があったらなあ」とまで言ってくれる。ところで、この爺さんには子供がいない。お初、種、安さんの次男、代書屋の倅・・・誰に相続すればいいものか。
- 作者: 矢田津世子,川村湊
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/04/10
- メディア: 文庫
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最後の最後において、本音がいくらか明らかになるのですが、作者の目線が完全に中立であるため、誰が「勝つ」のか最後までさっぱり分かりません。芥川賞候補にもなった、うまい小説。