安岡章太郎「悪い仲間」
ようやくニキビがつぶれかけてきた夏休みの頃、僕は藤井高麗彦と出会ったのだ。彼は僕をさまざまな冒険に誘っては僕を大いに驚かせ、彼が示唆するさまざまな秘密は、僕の彼に対するイメージを決定付けた・・・。そして夏休みが終わると、僕は高麗彦と同じ行動をするようになっていた。級友の倉田は僕に驚嘆のまなざしをむけ、僕は藤井高麗彦になろうとした。
- 作者: 安岡章太郎,加藤典洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/08/03
- メディア: 文庫
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少年たちの行動をみずみずしいタッチで描きますが、後半に従い、作者はそれに「他国に対して次々と戦争を仕掛けていた時代」という熱病の影響を重ねていきます。そうして、他人に影響を与え・与えられることをストップし、一人で立ち上がる「時代」の到来を示唆します。