島尾敏雄「摩天楼」
私は眼をつぶるだけで私の市街のようなものを建設したり崩したりしてみせたりすることが出来る。この私の市街は夢の中の断片をつなぎ合わせたもので、人が密集しているかと思えば空き地があり崩れ落ちた場所があり、野原すらあるように思われる。私はこの市街にこっそりと符号の代わりとして、NANGASAKUという名前をつけていた――。
- 作者: 島尾敏雄
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1980/05
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私は眼をつぶるだけで私の市街のようなものを建設したり崩したりしてみせたりすることが出来る。この私の市街は夢の中の断片をつなぎ合わせたもので、人が密集しているかと思えば空き地があり崩れ落ちた場所があり、野原すらあるように思われる。私はこの市街にこっそりと符号の代わりとして、NANGASAKUという名前をつけていた――。