福永武彦「風花」
彼は療養所の孤独のなかに生きており、これから行く道も定かではない。詩をつくろうとした彼の思考は、何か別の力によって過去へと、周囲から愛されていた過去へと戻ろうとする。そのとき、彼の顔に何やら冷たいものが降りかかった。(ああ、風花か――)。何かが彼の魂の上を羽ばたいて過ぎた。
- 作者: 福永武彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/06
- メディア: 文庫
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ノスタルジックな小品ですが、最後の数行によって表現された意志のベクトルの方向と伸び方が、個人的にとても気に入っている作品です。