花田清輝「沙漠について」
書けない原稿を前にして一語も浮かばず苦悩する、孤立無援の私である。砂を相手に模索し、錯乱し、試行錯誤を繰り返している。砂、砂、砂。閉じてしまいそうな瞼と戦いながら、砂について沙漠について、考察したあげくの思考の流砂。そうだ、砂には無限の破壊力とともに無限の創造力があるのだ。
- 作者: 粉川哲夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/10/18
- メディア: 文庫
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よりによって砂をテーマにしちゃったものだから、その思考はもがいてももがいても、その砂地獄から抜け出すことは出来ません。すると、当然、行き着く先は・・・。広げに広げた風呂敷の畳み込み方、その手管は見事です。
要するに、砂が悪いのだ。我々の不毛の原因は、すべて砂にある。