花田清輝

花田清輝「沙漠について」

書けない原稿を前にして一語も浮かばず苦悩する、孤立無援の私である。砂を相手に模索し、錯乱し、試行錯誤を繰り返している。砂、砂、砂。閉じてしまいそうな瞼と戦いながら、砂について沙漠について、考察したあげくの思考の流砂。そうだ、砂には無限の破…

花田清輝「鳥獣戯話」

『武田三代軍記』によれば、信玄の父親・信虎は完璧な極悪人であったようだ。あげくに息子に追放されるのだが、これが隠退なのかクー・デターなのかという点は、『武田信玄伝』にあるように数百年にわたる論争となっている――。武田信虎を中心として、歴史を…