萩原朔太郎「ウォーソン夫人の黒猫」

 いつものように仕事を片付け、部屋に帰ってきた時、ウォーソン夫人は何物かが中にいることを直感した。しかし、部屋の中には一人の人間もいなかった、ただ、見知らぬ黒猫が一匹坐っていたのである。全ての出入口は閉まっていたのに・・・。どこから入ってきたのだろうか?ウォーソン夫人は考えた。

猫町 他十七篇 (岩波文庫)

猫町 他十七篇 (岩波文庫)

 家の中にどこからともなく現れる黒猫の不思議。言葉の達人である詩人・萩原朔太郎による、本格的なミステリです。周到に与えられたイメージが変貌していく様と、ジェットコースターのような急展開が見所です。