萩原朔太郎

萩原朔太郎「ウォーソン夫人の黒猫」

いつものように仕事を片付け、部屋に帰ってきた時、ウォーソン夫人は何物かが中にいることを直感した。しかし、部屋の中には一人の人間もいなかった、ただ、見知らぬ黒猫が一匹坐っていたのである。全ての出入口は閉まっていたのに・・・。どこから入ってき…

萩原朔太郎「猫町」

私は、道に迷う。意図的に、道に迷う。不安から抜け出したところに、快楽があるために他ならない。その日も私は、道に迷っていた。ところがそのとき現れたものは、全く見ず知らずの町であった。一体こんな町が、東京の何所にあったのだろう?どうしてこんな…