石川淳「和頭内」
御存じ和唐内、なにをいうかとおもえば「つらくってかならねえ」。豪傑のセリフとも思えない。子分のもーる左衛門、じゃが太郎兵衛は、サーヴィスすなわち百戯すなわち雑芸をうつ。しかるにこれは三日でつぶれた。横町に一日遅れで開幕したこれも百戯の評判に、すっかり人気をさらわれたのだ。敵状をのぞいてきたら、女の子のちらちらたまらねえ綱渡りがあるという。
- 作者: 石川淳
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1991/07
- メディア: 文庫
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ここには「生活が苦しいと力が働く」という言葉がありますが、「何も無いところにこそ生きる場所がある」という理論は石川淳らしい逆説で、つまり「苦しいときこそチャンス」であるという強さ・激しさを言うものです。