石川淳「鷹」
たばこ会社を解雇された国助が呆けていると、Kと名のる男が近づいてきた。「仕事が無いのか?あしたの朝、ここへ行ってみたまえ」。与えられたのは、運河のほとりの家の地図。宿がもらえ、仕事があたえられ、それは煙草を運搬するという単純な仕事であった。だが、この煙草、何かが違う。その証拠に、小犬の態度に変化が生じた――。偶然の遭遇は、時空間を賭ける思わぬ方向に展開してゆく。
- 作者: 石川淳
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1991/07
- メディア: 文庫
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ヒッチコックばりの巻き込まれ型ミステリーは、迫力たっぷりの描写をともなって加速します。妙な現実感の上に君臨する少女のメルヘンが、強烈なアクセントとして残ります。