大江健三郎「飼育」
夕焼が色あせてしまった頃、村に犬と大人たちと、墜落した敵機に乗っていた《獲物》の黒い大男が帰ってきたのだ。「この村で飼う?あいつを動物みたいに飼う?」以来、子供たちは疫病に侵されて、生活は黒人兵で満たされた。大人たちは通常の仕事に戻り、黒人兵は子供たちだけのものになる。あの遠く輝かしい夏の午後、僕等は少しずつ黒人兵に近づいていった・・・。
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/09/29
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空から突然降ってきた黒人兵を「飼育」する村人。黒人兵は、初めから人間として扱われていません。詰め込まれた情報を持つ大人にとって黒人兵は敵でしかないためですが、それらのことに縛られない自由な子供たちは、好奇心たっぷりにその「物」に近づいていきます。
黒人兵は「家畜」として「人間」として子供達に様々な影響を与えますが、凝り固まった大人たちは彼から何も得ることがなかった模様です。そして、この話のあと「僕」は何を失い、何を得たのか。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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