中島敦「巡査の居る風景」
敷石には凍った猫の死骸が牡蠣のようにへばりついた。その上を赤い甘栗屋の広告が風に千切れて狂いながら走った――。1923年の冬、すべてが汚いまま凍りついていた。趙教英巡査は寒そうに鼻をすすっては首を縮め、街を歩いていた。彼は支配者である日本という国、朝鮮という国、そして自分について考えてみた。ある事件を処理した後、彼はそれらをさらに突き詰めて考えることになる。
- 作者: 中島敦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1976/05
- メディア: 単行本
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