梅崎春生「山名の場合」
山名申吉は、いつも同僚の五味司郎太とセットで扱われていました。いずれも三十一歳、背丈低く、独身、国語教師、職員室での机も隣同士で、月給の額までぴたりと一致していたのです。山名はいつしか五味をぼんやりと憎むようになりました。同類意識、競争意識、しかし、それだけではないようです。山名が自分の気持ちにはっきりと気が付いたのは、小説を書いてみようと思い立ってからでした。
- 作者: 梅崎春生
- 出版社/メーカー: 山田書店
- 発売日: 1955
- メディア: ?
- この商品を含むブログ (1件) を見る
『このままでは俺は、何のために生きてるのかも判らない』(略)
『生き甲斐を感じなくてはならぬ、生き甲斐を!』