野坂昭如「火垂るの墓」
母は息をひきとり周りの人には辛くされ、清太と節子は横穴に住む。すぐに食い物なくなり節子はやせ衰え、人形を抱く力もはいらない。――お父ちゃん、今ごろどこで戦争してはんねんやろ、なあ、お母ちゃん。せや、節子覚えてるやろか、と口に出しかけて、いや、想い出させたらあかん。ゆるやかな動きを追ううち、夢のなか。
- 作者: 野坂昭如
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1972/02/01
- メディア: 文庫
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母は息をひきとり周りの人には辛くされ、清太と節子は横穴に住む。すぐに食い物なくなり節子はやせ衰え、人形を抱く力もはいらない。――お父ちゃん、今ごろどこで戦争してはんねんやろ、なあ、お母ちゃん。せや、節子覚えてるやろか、と口に出しかけて、いや、想い出させたらあかん。ゆるやかな動きを追ううち、夢のなか。