2004-05-18から1日間の記事一覧

大江健三郎「不意の唖」

外国兵と日本人通訳をのせたジープが谷間の村にやってきた。外国兵はたくましくて美しかったが、通訳は汚らしかった。水浴びの後、通訳の靴がなくなった。通訳は大騒ぎしたが見つからず、歯をむいて「この野郎」と叫び、「お前の責任だ」と部落長を殴った。…

安岡章太郎「陰気な愉しみ」

私には何か欠陥があるのかもしれない。軍隊生活でもまったく昇格できず、そのあげく背中に受けた傷がもとで病気になり、今は横浜市から金をもらって生活している。私はいつも役所へ着いたとたんに「健康人になってしまわないだろうか?」という不安に襲われ…