2004-12-01から1日間の記事一覧

太宰治「魚服記」

馬禿山の滝つぼ近くの茶店で、店番のスワはすべて父親の指示どおりにしていた。しかし、このごろ、スワはすこし思案ぶかくなってきたようである。ながめているだけでは足らなくなってきたのだ。父親は、売れても売れなくても、なんでもなさそうな顔をしてい…

椎名麟三「重き流れの中に」

僕には明日の希望がない。昨日はすでに滅んでいる。明日は昨日の繰り返しだし、今日は廃墟でしかない。けれども明日のことを考えるのは気持がいい!特に天気のことを考えるのは最高だ。生活は徹頭徹尾無意味である。けれどもこの無意味さは笑うことによって…