太宰治「魚服記」
馬禿山の滝つぼ近くの茶店で、店番のスワはすべて父親の指示どおりにしていた。しかし、このごろ、スワはすこし思案ぶかくなってきたようである。ながめているだけでは足らなくなってきたのだ。父親は、売れても売れなくても、なんでもなさそうな顔をしている。スワは、そういう父親が馬鹿くさくて、「阿呆、阿呆」と呶鳴った。
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1994/10
- メディア: 文庫
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しかし、底の方にはスワに芽生えかけた熱情が、静かに静かに潜んでいました。きっかけを与えられたそれは、出口を求めることでしょう。それは、浮上した先にあるのでしょうか。それとも、さらに潜った先にあるのでしょうか。その選択の結果が、ラストに。