2005-01-24から1日間の記事一覧

中野重治「おどる男」

電車がこない。ここには通勤人の不服そうな顔が並んでいる。しかし電車が来ても、どうせ荷物のようにどこかに運ばれ、ろくでもない用事をするだけだろうが。それにしても、来ねえなあ。いくら待っても電車が来ねえや。こうしたイライラが充満したプラットホ…

長谷川四郎「張徳義」

橋の警備隊にとらえられた張徳義。彼は半地下に入れられ、日本兵の奴隷として暮らすことになった。馬とともに鞭打たれる激しい労働、残飯を与えられて暮らす日々。古い上官が去り、新しい上官が来たが、彼に対する扱いに変化はない。彼の存在は忘れられてい…