石川淳「紫苑物語」
あくる日の狩、国の守である宗頼はおなじほどの年ごろの平太とあった。やつに守の命はつうじず、すさまじい気迫に圧せられ、宗頼ははずかしめを、いや、のろいを受けた。宗頼はふもとから山上を振り返り、敵の背をにらむ・・・。宗頼は民を殺しては、そのあとに紫苑の草を植えさせる。わしは殺すことを好む。そしてやつめのつらの皮を、この手で剥いでくれよう・・・。
- 作者: 石川淳,立石伯
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/05/05
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
宗頼の矢は「言」→「体」→「命」→「魂」→「?」へと放たれつづけ、ついに善悪を分ける谷をのぼり、平太の存在にたどりつきます。世界を紫苑にそめた宗頼ですが、平太の正体にはなかなか気づきません。彼らの先にあるのは血、そして・・・。
流される罪なき血と引き換えに、次々と植えられていく紫苑。その花言葉は「君を忘れず」だとか。